鹿股川上流「滝めぐりハイキング」ガイド
 
はじめに
 塩原は滝の多い観光地として広く知られ、その代表的な滝は「塩原10名瀑」と呼ばれています。なかでもこの塩の湯の奥にある有名な三滝(正確には四滝)、咆哮霹靂(ほうこうへきれき)の滝、雷霆(らいてい)の滝、雄飛(ゆうひ)の滝は、古くから塩原滝めぐりのクライマックスと評され、これらの滝をめぐるハイキングは多くの自然愛好派の方たちに親しまれてきました。
  このハイキングルートは数年前の大雨災害などで、長い間 通行止めになっていましたが、平成13年4月からようやく通れるようになり、かつてこの道を歩いた方やハイカーに日増しに人気が高まっています。新緑の頃から晩秋の頃まで楽しめる、この鹿股(かのまた)川上流の「滝めぐりハイキング」。たまにはしっかり“汗をかきましょう”! というわけで、新緑が美しい今年の5月下旬(平成13年)、ひと足お先に歩いてきました。これは現地を歩いた印象を中心にまとめたハイキングガイド(レポート)です。
  塩の湯から滝をめぐって八方ヶ原へ。あるいは八方ヶ原から塩の湯へ。柏屋旅館を定宿にすれば、ハイキングのプランを立てるのも楽しいもの。滝めぐりと7種類の貸し切り露天風呂、二つの魅力で日頃のストレスもすっかりもみほぐされて、気分はすっかりリフレッシュできます。末尾には、ハイキングへ出かける方のために必要な観光情報を、できるだけ多くまとめて見ましたのでご活用ください。では、ごゆっくりどうぞ。(文責・新井紀行)

■■■■■■■■

  塩の湯「柏屋旅館」から車で鹿股川上流ヘ向う。未舗装の山道をゆっくりと約9分、1qほ
ど走り、野地湯沢の空地に車を止め、橋を渡り歩きはじめる。鹿股川は眼下7、80m下を流れている。5分ほど歩くと左に公衆トイレがあり、いくつかの案内板が並んでいた。咆哮霹靂(ほうこうへきれき)の滝まで1.7q、八方ヶ原まで5.2q。いよいよここから滝めぐりハイキングコース(八方ヶ原下塩原線歩道)のスタートだ。



あの吊り橋入口が見えれば滝はすぐ

■川音を聞きながら、新緑の林の中を歩く
  修復工事の終った未舗装の山道を歩く。左下から、大量の水が落ちる音がする。左手眼下の木々の間に鹿股川ダムのコバルトグリーンの湖面が見えた。頭上の木々の新緑に薄日が差し込み、美しい。清々しいいい季節だ。

ほうこうへきれきの吊り橋を行く
  この辺りの森林は、ミズナラ、イヌブナ、リョウブ、ハリギリ、フサザクラ、メグスリノキなど、主に落葉広葉樹からなっている、と案内板。八方ヶ原まで4.6q地点、歩道は右へ山腹を大きく高巻きはじめた。
 川音が下から上がってくる。少々急な道になる。八方ヶ原まで4.4qの地点。この付近では、アカゲラやアオゲラなど、キツツキの仲間を多く見かけるらしい。まもなく平坦な道にもどった。なだらかな上り坂を行く。
  川のせせらぎの音を聞きながら、美しい新緑の林の中を歩く。フィトンチッドをいっぱい含んだ風なのだろうか、肌にとっても気持ちがいい。八方ヶ原まで4.2qの地点まで来た。大きな岩が転がっている。咆哮霹靂の滝まであと0.6qだ。道はいよいよ下りはじめた。鳥のさえずりや川の
せせらぎが聞こえる。
 気のせいか、イオウ(硫黄)のにおいが少しした。スッカン沢が近いのか。道は横づたいから、また下りはじめる。シダも生えている。夏はきっと涼しいところに違いない。木の階段がよ
く整備されている。手すりまで付いている。川底から川音が這い上がってきた。今度は石の階段に代わった。古い時期に造成されたもののようだ。長い歴史のあるハイキングコースといった印象だ。川が見えてきた。川底まで下りる。勇壮な鹿股川

魚が棲まないスッカン沢

桜沢とスッカン沢が合流する
が左右に広がる。右前方100mほど先に吊橋の階段が見えたので、安心してここで小休止する。

■木立ちの中を流れる勇壮な滝
  あの咆哮霹靂の吊橋を渡れば、滝はもう100m位のところだ。近代的な吊橋を渡る。下を流れるのはスッカン沢だ。幾分、水が白濁しているようだ。これは上流で温泉(硫黄泉)が湧い

吊り橋を渡れば 咆哮霹靂の滝!
ているから、魚が棲まない川だという。左手上流の、滝のある桜沢とスッカン沢とがここで合流するが、桜沢のほうには魚が棲んでいる。
  吊橋を渡り終わると、桜沢の上流に咆哮霹靂の滝が木々の間に見えた。岩の間をすり抜けて滝の近くへ。向って左の奥の滝が霹靂(へきれき)の滝だ。そして、その右隣りにあるのが咆哮(ほうこう)の滝だ。霹靂と咆哮と、隣り同士で並ぶ二つの滝を合
わせて「咆哮霹靂の滝」と呼んでいる。しかし、この咆哮の滝は、現在は残念ながら水量がごくわずかで、流れ落ちる“滝”そのものに往時の面影は見られない。上流の道路工事が影響したらしい、と宿の主人は語っていた。


木立ちの中の勇壮な滝──霹靂の滝

霹靂の滝の右隣りにある咆哮の滝
(水源の変化で往時の滝の姿はないが…)

  霹靂とは水系は別のようだが、水量さえ豊富なら、実にスケールの大きいみごとな滝であることが充分に伝わってくる。「咆哮」と付けたネーミングが適切だったことがわかる気がした。下から見上げると、三段で構成されている滝のように見える。この日、天気は晴れたり曇

雷霆の滝へ向う途中にある吊り橋
ったり、写真を撮るにはちょうど良かった。
  今度は霹靂の滝の前まできた。美しい新緑に囲まれたその間を、ゴーゴーと白い滝は流れ落ちている。滝の前には巨岩や流木があったりする。新緑が光りに映えている。水しぶきが光りに輝いて美しい。鳥のさえずりも聞こえてきた。ここには確かに、滝めぐりのメッカとして人をひきつけるものがある。滝の入口までもどり、昼食をとる。さあ、次はここから1q先の「雷霆(らいてい)の滝」へ向けて出発だ。

■巨岩や巨木、シダの林の向こうに…
  笹の間に伸びる小道を歩く。このハイキングコースは長い間通行止めになっていたせいか、今まで人っ子一人会っていない。小さなアカガエルが一匹飛出してきた。頭上には、新緑を透かした木洩れ日が美しい。スッカン沢のせせらぎが聞こえてくる。木の根が露出していたり、石の階段が続く山道。歴史を感じさせる。

情緒豊かな古い石の階段
  八方ヶ原まで3qの地点で、「雄飛の滝線歩道通行止」の立て札に出くわした。この道を行けば0.6qで雄飛の滝だ。その昔、雄飛の滝は塩原滝めぐりのクライマックスであったと聞く。(取材した平成13年当時、この滝へのルートは通行止めであった。平成16年6月5日から通れるようになっている。詳しくは文末。)
  木の階段を上る。12時40分。ヒグラシが鳴いている。美しい野鳥の声が聞こえてきた。ウグイスも鳴いている。沢音が下から聞こえはじめたと思ったら、情緒ある木造り

緑の林の小道を行く
の吊橋がかかっていた。橋を渡りきって少し進むと、涼しそうな光景に出合った。石の階段を上りきった先には沢が流れ、景色に溶け込むような木の小橋がかかっていた。ちょっといい眺めだった。

苔むした大岩やシダが生い茂る林

沢水の音を聞きながら小橋を渡る

明るい新緑の林の中を行く

  シダが生え、苔むした岩がころがっている山道を行く。石組みの階段が歴史を感じさせる。朽ち果てた倒木も見られる。苔むした巨木の間に道は続いている。岩も苔むしている。夏場はさぞかし涼しい場所になることだろう。木造りの5mほどの立派な新しい吊橋がかかってい



(上)緑のカーテンが上がれば、滝はその先に登場する
(左)木洩れ日を浴びながら雷鳴が轟く──雷霆の滝

る。桜沢にそそぐ支流がいくつかあるようだ。やがて巨岩や巨木やシダの生える少し不思議な感じのする林の前に来た。その林の奥を桜沢が流れている。新緑がことのほか美しい。
  さらに歩くと、沢音が大きくなってきた。あの沢の上流に滝があるようだ。雷霆の滝だろう
か。半分上がった“緑のカーテン”の向こうには、木洩れ日を浴びた滝が流れ落ちていた。雷霆の滝だ! すばらしい滝! 雷霆とは、かみなりのこと。滝の音と姿と大きさが、雷の性質を表しているという。滝が落ちるさまは、さも雷鳴が轟くようだ、といった感じだろうか。ひととき、滝の清涼感に心洗われる思いにふけった。
  ここから八方ヶ原へは2.3q、先ほどの咆哮霹靂の滝へは

工事完了が待たれる雄飛の滝への道
q、塩釜バス停へは5.6q。八方ヶ原へ向うか塩の湯へ戻ろうか迷ったが、雷雨がやってきそうなのでこの日は塩の湯へ戻ることにした。帰路の足どりは軽かった。(010529取材)

■■■■■■■■

鹿股川上流「滝めぐりハイキング」コース 所要時間
(八方ヶ原下塩原線歩道)
学校平―(約2.3q 80分)―雷霆の滝―(約1q 30分)―咆哮霹靂の滝―(約1.7q 70分)―公衆トイレ─(約1.4q 40分)─塩の湯(柏屋)―(約1.5q 20分)―塩釜バス停までの約7.9q 所要時間約4時間のコース
「雄飛の滝線歩道」平成16年6月から通行可能に
  災害のために平成10年から通行止めになっていた雄飛の滝へのハイキングルート「雄飛の滝線歩道」の工事が終り、平成16年6月5日から通行できるようになりました。雄飛の滝へは、塩の湯から矢板ヘ抜ける県道56号線(下塩原矢板線)から入る(下りる)のが早くて便利です。滝の上から滝つぼが眺められる展望台もできています。近くには仁三郎の滝もあります。
  県道56号線から入るには、塩の湯から車で矢板方面へ約8.6q走ったところ、雄飛橋のたもとに歩道の入口があります。くわしい問合せは■栃木県矢板林務事務所 電話0287-43-0427

八方ヶ原「レンゲツツジ」情報
  八方ヶ原は、高原山の東中腹に広がる標高1000mから1200mの台地です。5月下旬から6月中旬にかけて約20万株のレンゲツツジの群生が朱色にあたりを染めます。
  大間々台の展望台からは那須連山、関東平野が一望に見渡せます。

  場所:東北道矢板インターチェンジから北へ約25km(矢板市街地を通過し塩原方面へ。信号「泉」を左折し、県道下塩原・矢板線を進みます)
  交通機関:公共交通機関なし
        JR矢板駅前からタクシー利用(片道約40分) 詳しいことはここをクリック!
  駐車場:学校平、小間々台、大間々台
  トイレ:学校平、大間々台
  休憩所:学校平(国民保養センター)
  問合せ先:矢板市商工観光課 電話0287‐43‐6211
 矢板市のホームページ:http://www.city.yaita.tochigi.jp/  →八方ヶ原観光情報

鹿股川上流「滝めぐりハイキング」を計画するなら

JR矢板駅前〜八方ヶ原「学校平」間は、タクシー利用が便利!
  塩の湯・柏屋旅館を定宿にし、連泊できるなら二日目に滝めぐりを計画すればゆったりと旅程を組むことができます。一泊で滝めぐりを計画するなら、JR矢板駅前から八方ヶ原・学校平まで駅前タクシーを利用されることをおすすめしたい。そうすれば一泊でも充分余裕をもって滝めぐりを楽しむことができます。くわしくはここをクリック!

健脚派には「矢板市営バス」もあります!
  また、JR矢板駅前から「矢板市営バス」も、市街の町はずれまでですが、何本か走っています。歩くことがほんとうに大好きな健脚にとっては、こちらもおすすめ。くわしいことは、ここをクリック!

■八方ヶ原 観光情報問合せ先 矢板市商工観光課 電話0287‐43‐6211

※この「滝めぐりハイキング」ガイド コンテンツへのご要望やクレイムは、メールでお寄せください。
より正確で、利用しやすい内容に改めていきたいと思います。

HOME