Yado‐Nikki 
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ある日の「柏屋」
湯ゆー湯ゆー気分!

-宿日記-

トンボが群れ遊ぶ、“湯の国”桃源郷 (7月31日泊)
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  国道400号線から塩原へ入る。午後4時、柏屋に到着。早速プーを連れ立って散策に出かける。人間で言えばもう70過ぎのおばあちゃんというのが嘘のように、プーは上流へ向って歩き出した。塩の湯手前の杉林では、涼しい風が吹いてきた。5時50分、柏屋にもどる。いい汗がかけた。汗を流しに館内風呂へ下りていく。
  翌早朝、未明に目覚める。対岸の山頂部左側の松林の上には、明けの明星が美しく瞬いていた。また一眠りして、5時21分再びカーテンを開けると、対岸の山はもう明るかった。網戸を開けると、空中ではトンボたちが飛びはじめていた。赤トンボ、ウスバカゲロウもいる。昆虫たちの朝は早いのだ。6時20分、太陽が昇り始めた。朝日が差し込む。夥(おびただ)しい数のトンボが、川下へ向って飛んでいく。


未明の空に明けの明星が美しかった
2001/08/01 04:22
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対岸の山頂から日が昇る 光線が幾筋も走った
2001/08/01 06:24

  7時20分、プーと周辺を散策する。鹿股川上流の、かつて高村光太郎・智恵子夫妻が塩原旅行の折に記念写真を撮った場所 近くへも行ってみた。8時少し前、旅館脇のみどり橋から対岸を見やると、トンボの群れ飛ぶのが逆光に映えてよく見えた。今が飛び立つ時間帯のピークなのか、ものすごい数だった。
  朝食を摂り終えると、食堂の外でセミが鳴き始めた。部屋に戻ると、窓外ではトンボたちが向きを変え、思い思いの方向に飛びはじめていた。周辺をグルグル回っているのもいる。先ほど仲居さんが、「“アカチャントンボ”が出始めると、涼しい季節を迎える」と説明してくれた。アキアカネのことだろうか。塩の湯では、そのアカチャントンボの時期を迎えたのだろうか。


散歩の途中で水を飲むプー
2001/08/01 07:27
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湯舟の大半は建物の中にある 半露天風呂の桐の湯
2001/08/01 09:50

  汗を流しに館内風呂へ。トンボたちは浴場の中にまで入ってきて、スノコの上で遊んでいた。9時20分頃、今度は半露天風呂「桐の湯」へ向う。まるで道案内をするようにトンボたちは、歩く先々に止まっては去って行く。やがて桐の湯の前に来た。「念のために」と言って渡された、虻(アブ)撃退用のハエ叩きを小脇に抱えながら入口の鍵を開ける。

  桐の湯は、離れのような休息所の付いた露天風呂。建物は大正時代に建てられたもので、質素な造りだが、空間を贅沢に使い、当時の雰囲気を今に伝えている。湯舟の半分が建物の中にある。伝統の温泉に浸かっては休息所で休むと、湯治気分は増してくる。温泉を汲んで体を流していたら、さっそく虻がやってきた。
  気温の上昇でここ二三日、虻が少し多く飛んでいるらしい。“虻たたき”が大いに役立った。虻がこわくて野天風呂に入れるか。自然の中にあるからこその野天風呂の野趣。虻もたまにはやってくる。湯舟から窓外に目をやると、鄙(ひな)びた格子戸越しに小さな青空が覗けた。白い雲がゆっくり流れていた。壮快な気分になった。(2001.7.31泊)


鄙びた雰囲気が味わい深い桐の湯の一角
2001/08/01 09:51
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手渡された虻たたき
重宝した
2001/08/01 09:35

 ※昭和8年9月、『智恵子抄』で知られる高村光太郎・智恵子夫妻は柏屋で10日余り静養した。その折、旅館から10分ほど歩いた鹿股川上流の河原で記念写真を撮っている。その場所は今も当時のままのように残っている。(写真は1階ロビーに展示)
 
宿日記「ある日の『柏屋』湯ゆー湯ゆー気分」


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